研究推進体のご紹介

研究推進体の概要

 科学技術立国「日本」が、科学技術分野で諸外国を先導していくためには、世界最先端の研究データ、独自の研究データを取得できる先端計測手法・分析機器を整備していくことが重要である。新たな方法論の開拓や多分野の技術の融合を通じた新しい計測手法の開発により、今までにない新しい研究領域が次々と生み出されてきたことは、これまでの科学の歴史を振り返れば明らかである。(X線分光法[1924年:ノーベル物理学賞]・ラマン分光法[1930年:ノーベル物理学賞]・核磁気共鳴[1951年:ノーベル物理学賞]・光電子分光法[1981年:ノーベル物理学賞]・走査型トンネル顕微鏡・電子顕微鏡[1986年:ノーベル物理学賞]・質量分析法[2002年:ノーベル化学賞])新しい計測手法を先端的な分析技術基盤として確立させるには、新しい分析機器として完成させることが重要である。すなわち、手法(技術)を汎用化(機器)することで初めて工業・産業的応用が可能となり、社会経済上において波及効果をもたらす。
 さらに近年、人工知能(AI)を用いた材料開発の仕組みづくりが盛んである。これらAIを用いた深層学習には、ビックデータが必要不可欠とされる。本研究推進体は、専門分野が多岐にわたるメンバーから構成されているため、多くの測定データ、すなわち「ビックデータ」を容易に蓄積できる状況にある。深層学習による材料性能予測・材料開発のプラットフォームの構築、延いてはその社会実装において、新しい計測技術・分析手法により取得した様々な分野の基礎実験データの大量蓄積は"キラーアイテム"となり得る
 山口大学には、新しい計測手法に応用可能な光・電子・磁気機能材料開発、及び画像処理・解析における研究で、世界をリードする研究者が多数揃っている。新しい計測手法・性能予測の研究開発において、新しい機能材料を使用できる研究環境は、大きな優位性を持つ。本学独自の光・電子・磁気機能材料、それらに付随する材料開発技術を、世界標準となる計測手法・新しい分析機器、延いては測定ビックデータを用いた物質機能予測技術へと適用・発展させるべく、本研究推進体を組織する。具体的には、上記課題を戦略的・長期的に取り組むことを鑑み、20代~40代の若手メンバーを中心とし、異分野(化学・物理・生物・情報)の研究者を糾合する。また、学会等の専門的分野で地位を持つ教授を配置し、新機能材料の開発・設計から新しい計測手法の開発・評価、最終的には、材料物性予測までを協力しながらスピーディー・タイムリーに行なえる相互扶助研究体制を構築する。さらに新しい計測手法・ビックデータ解析技術の実用化・汎用化の観点から、新しい分析機器開発・データ解析を行なっている外部有識者、及び本研究推進体活動に賛同する企業担当者をアドバイザー/オブザーバーとして本推進体に参画させる。合わせてコンソーシアム的活動も実施する。
【第2期活動方針に基き改訂[2020/10/01]】

 


研究推進体の活動方針

 全く新しい発想に基づく新規機能材料開発、新原理の探索を通した新たな計測手法の開発等、多方面の先端科学技術分野における創造的な研究活動を支える新たな計測手法・分析機器の実現に向けた基盤技術の確立を目指す。また、その研究活動で得られた大量の測定データ(ビックデータ)とAIを用いた深層学習を組み合わせることで材料物性・機能を予測する技術へと発展させる。
 新しい測定手法・分析機器の出現、ビックデータを基に材料物性・機能を予測するAI分析技術は、細分化・多様化が進む先端科学分野の研究開発において、画期的な進展、あるいは全く新しい研究領域を切り拓く可能性を秘めている。
 従来分析技術・機器では解析不可能であった化学現象や事象について、新たな方法論の開拓と多分野の技術の融合等を併行して進める。具体的には、例えば、以下のような領域について、先端計測分析機器の開発・AIを用いた材料開発につながる基盤技術を確立する。

  • 無機材料や有機材料、生体・環境試料中に含まれる極微量物質の化学形態を計測・分析する基盤技術の確立
  • 無機材料や有機材料、生体・環境試料の固体/固体界面、固体/液体界面の状態を計測・分析する基盤技術の確立
  • 計測・分析の速度、感度、精度を飛躍的に向上させる技術、あるいはその限界に挑む技術へ挑戦する技術
  • 多数の計測・測定データ(特に画像データ)を統合・集計・分析し、物質の未知なる物性・機能を予測する技術

 このような技術の開発は、ライフサイエンス分野における分子認識に基づく生命現象の解明、ナノテクノロジー・材料分野における物質間の相互作用の解明、環境分野における生体影響の解明等の他様々な分野において鍵となるものである。



山口大学研究推進体「先端的計測・分析基盤技術の創出」

当研究推進体は、以下の場所に本部を設置しております。
 所在地:〒753-8512 山口県山口市吉田1677-1 山口大学 理学部内